悪性リンパ腫について

悪性リンパ腫は、血液のがんのひとつで、他には、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫をはじめいろいろな種類があります。それぞれ、正常リンパ球のどの段階で発癌したかによって性質が異なると考えられています。リンパ系組織は全身を巡っているため、肉腫及び癌腫の癌とは異なり、外科手術は行わず、主に放射線療法および化学療法を行います。リンパ腫には「良性」はない為、必ず「悪性」ということになるが、日本語の病名としては明示的に「悪性リンパ腫」と呼び習わしています。
悪性リンパ腫は、単一ではなく、多様な病型のリンパ系組織のがんの総称である。病型を大別すると、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫がある。病型によって治療方針及び薬剤が大きく異なり、比較的寛解しやすいタイプもあれば、非常にリスクの高いタイプもある。YUKIMIは、"リンパ芽球性リンパ腫"というきわめて危険で難しい種類で、5年後の生存率は10%を切るものでした。
悪性リンパ腫は全身に発生するというその性質上、治療を行ってもがん細胞が完全に消えたことを証明することはできません。そのため「完治」という表現はせず、腫瘍を検出できなくなった時点で「寛解」(かんかい)したと表現します。これは、同じ血液のがんである白血病と同様の扱いです。緩解に至ってもがん細胞が残存していることがあり、非常に再発しやすいといえます。
リンパ芽球性リンパ腫は、急性リンパ性白血病とほぼ同じ化学療法が行われますが、造血幹細胞移植、いわゆる骨髄移植が有効で、YUKIMIの場合は、血縁者に同じ型のドナー(臓器提供者)がいなかったので、骨髄バンクを通じて非血縁者間移植を行いました。

 

GVHDについて

GVHDとは、移植片対宿主病(いしょくへんたいしゅくしゅびょう、graft versus host disease; )のことで、他人の臓器などを移植することによる合併症のひとつ。
もともと人間には、体の外から入ってくる細菌などから体を守ろうとする免疫という仕組みがあります。が、移植などによって他人の臓器(移植片)が入ってくると、もともとある体の細胞がお互いに異物とみなして、けんかすることです。GVHDとはドナーの臓器が、免疫応答によってレシピエント(臓器受給者)の臓器を攻撃することによって起こる症状の総称です。特に免疫組織を直接移植する、骨髄移植後や輸血後に多く発生します。
 GVHDを発症する原因は、まだはっきりと確立されていませんが、最も多い症状は皮膚障害で、かゆい発疹(ほっしん)が出たり、カサカサになって硬くなり、部分的に脱毛、脱色したりします。また、涙腺に損傷を受けて涙の量が減るため、眼球の表面(結膜といいます)が乾燥して痛みや視力障害を来す、いわゆるドライアイや目の刺激感が現れます。口の中の唾液腺も侵されることが多く、食事のときにしみたりします。食道に病変があると、飲み込むのが困難になります。肝臓の障害から、黄疸や肝機能検査結果の異常がみられることがあります。胃粘膜や腸の粘液分泌腺(ぶんぴせん)が傷害されると、適切な栄養吸収力が妨げられて胸焼け、胃痛、腹痛、体重減少等が起こります。筋膜が硬くなったり腱が萎縮することにより、関節の曲げ伸ばしが困難になることがあります。肺が硬くなると、喘息のような喘鳴(ぜんめい)音が聞こえたり、呼吸がうまくできなくなって息苦しさを感じたりします。ひどい場合には、血液中の酸素濃度が低下して動けなくなることもあります。これら以外の臓器にも、慢性GVHDに関連する障害が出現することが知られています。いずれの症状も個人差があり、人によってどのような症状が、どの程度の重症度で出現するかはさまざまです。YUKIMIの場合は上記の様々な症状に加え、爪、歯をひどくやられました。

 

骨髄バンク ドナー登録のお願い

白血病や悪性リンパ腫などの治療のひとつとして骨髄移植があります。抗がん剤や放射線治療で治せない場合、有効な方法です。骨髄とは骨の中心部にある造血組織で、血液(白血球、赤血球、血小板)はここで造られ、血管を通じて全身を巡ります。骨髄にある骨髄液(正確には造血幹細胞)を健康なドナーのものと入れ替えるのが骨髄移植です。
ただ、だれの骨髄でも移植できるのではなく、HLA (白血球の型)が合わなければ移植できません。HLAの型は数万から数十万種類ありますが、日本人の型として珍しい型だと一致する確率が低くなります。逆に比較的よくある型だと、一致する確率も高くなります。YUKIMIの場合は、幸いにもHLAの合うドナーさんがいました。
非血縁者間骨髄移植には、骨髄バンク(骨髄移植推進財団)を通じて行われ、日々ドナー登録を募集しています。白血病等の血液難病に苦しむ人達を救済するため、善意による骨髄提供を皆様にぜひお願いします。